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第8回 特別な日の腎臓病食~秋編~

特別な日の腎臓病食

本コンテンツは腎臓病食の一例を紹介しております。摂取可能な栄養量については、患者さんごとに異なっております。ご自身が摂取可能な量については、主治医にご相談ください。

オーヴェルジュ エスポワールのシェフ・藤木さんによる「特別な日の腎臓病食」。秋編の今回は、秋刀魚やキノコなど秋の味覚を存分に取り入れたコース料理をご考案いただきました。食材の長所を生かし、タンパク質や塩分を控えた料理をご紹介しています。ご家庭でも取り入れていただけるよう、調理のポイントやアイデアなどもお話しいただきましたので、ぜひご参考になさってください。

旬の味覚を贅沢に取り入れた、香り高い秋のメニュー

秋ならではの香り、旨み、彩りを総動員した、本格フルコース

味覚の秋到来。キノコ、果物、魚介類など、色とりどりの滋味深い食材が楽しめる季節となりました。食欲も増す時季ですが、新鮮な食材を選び、香りや彩りを上手に取り入れることで、分量は限られていても十分に満足感が得られるコース料理が完成します。

素材の特徴を生かす調理法で、少ないタンパク量や塩分量でも満足できる味わいに

秋の味覚をふんだんに盛り込んだフルコースでありながら、タンパク質18.9g、塩分2.8gのメニューを実現しました。
旬ならではの食材の旨み、香りを最大限に生かす調理法を駆使して、少ないタンパク量、塩分量でも満足していただけるレシピを考えました。

野菜や果物をふんだんに取り入れながらも、制限量内で調整

秋刀魚とブドウのマリネ 秋刀魚とブドウのマリネ

秋刀魚とブドウが織りなす、秋ならではの深い味わい

秋刀魚は塩と砂糖で漬け込むことで、生臭さと余分な水分が抜け、グッと身がしまります。今回は生ハムやスモークサーモンにも用いられる「冷燻(れいくん)」という技法を取り入れることで、塩分を抑えながらも秋刀魚の旨みを存分に引き出すことができました。みずみずしいブドウとの組み合わせをご堪能ください。

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この料理の栄養量

この料理の栄養量

エネルギー 43.57 kcal
タンパク質 1.93 g
塩分 0.13 g
ナトリウム 52.2 mg
カリウム 46.1 mg
リン 21 mg
水分 22.28 g

調理のポイント

少し手間はかかりますが、秋刀魚を冷燻にすることで、少ない塩分量でも旨みを引き出すことができます。

  • 材料

  • 作り方

信州キノコのサラダ バニラの香り 信州キノコのサラダ バニラの香り

キノコとバニラの風味が絶妙な香りのサラダ

今回は採れたてのキノコと彩りのよい紅芯(こうしん)大根を組み合わせたサラダをご紹介します。
キノコは蒸したり、焼いたりすると水分が出て、シャキシャキとした歯触りがなくなるので、電子レンジでラップをせずに加熱します。フレンチドレッシングには、バニラビーンズをさやごと粉末状にしたバニラパウダーを加えることで風味に変化を加えました。

この料理の栄養量

この料理の栄養量

エネルギー72.7 kcal
タンパク質1.57 g
塩分0.45 g
ナトリウム183.6 mg
カリウム202.05 mg
リン52.45 mg
水分61.37 g
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調理のポイント

香りと旨みがいっぱいのキノコは、秋の腎臓病食には欠かせない食材です。キノコは洗ってしまうと特有の香りが飛び、水っぽくなってしまうので、石づきを取ったら洗わずにそのまま電子レンジで加熱することがポイントです。ご家庭で炒め料理に使う場合にも、炒める前に電子レンジで加熱しておくと油を吸いにくくなります。

  • 材料

  • 作り方

アカヤマドリタケのリゾット アカヤマドリタケのリゾット

キノコの香りと旨みを凝縮して濃厚な味わいを実現

アカヤマドリダケという天然のキノコを使ったリゾットです。キノコをピューレにして、とろとろのポタージュ状にしたものに、低タンパク米、低リンミルクを用いてよりクリーミーに仕上げました。
野鳥のヤマドリを思わせる色合いのこのキノコは旨み成分が大変豊富です。この旨みを生かすことでコンソメを使用しなくても美味しく召し上がっていただけます。

この料理の栄養量

この料理の栄養量

エネルギー 116.3 kcal
タンパク質 1 g
塩分 1 g
ナトリウム 396.45 mg
カリウム 75.75 mg
リン 25.1 mg
水分 73.2 g
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調理のポイント

香り高いブナシメジ、旨みのあるマイタケ、甘みの強いエノキをミックスしてピューレにすることで、ご家庭でもアカヤマドリタケと似た味わいを再現することができます。

  • 材料

  • 作り方

甲イカとレンコンのムース 信州産パプリカのソース 甲イカとレンコンのムース 信州産パプリカのソース

ふわふわのムースに鮮やかなパプリカのソースを絡めて

細かく刻んだイカ、すりおろしたレンコン、牛乳、生クリームをフードプロセッサーに入れて滑らかにします。通常、ムースは卵と生クリームを使って仕上げますが、今回はタンパク質を減らす工夫としてレンコンをつなぎに使いました。ただ、すりおろしたレンコンは水分が多く出て、蒸すうちに固形分と水分が分離してしまいます。分離を防ぎ、より滑らかな口当たりに仕上げる工夫として、寒天(プチドリップ)を加えて、水分も一緒に閉じ込めました。
秋に採れるパプリカは味が濃く、香りも強いのでソースに適しています。余分な塩分を加えなくても素材の甘みと香りだけで十分にムースの味わいを引き立てます。

この料理の栄養量

この料理の栄養量

エネルギー 131.96 kcal
タンパク質 1.57 g
塩分 0.47 g
ナトリウム 175.36 mg
カリウム 243.84 mg
リン 73.13 mg
水分 158.76 g
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調理のポイント

水分の多い食材をすりおろすと固形分と水分が分離してしまいますが、寒天を活用すれば水分も丸ごと味わっていただくことができます。タンパク質の多い卵の代わりにレンコンをつなぎに使用することもポイントです。

  • 材料

  • 作り方

信州産黒豚バラ肉のプティサレ コンソメ煮込み 信州産黒豚バラ肉のプティサレ コンソメ煮込み

小さな豚バラ肉に旨みをたっぷり閉じ込めて、こんがりまろやかに

プティサレとは「プティ(小さい・少ない)、サレ(塩)」という意味のフランス語です。豚肉のなかで比較的低タンパクなバラ肉に、塩と砂糖をふってラップし、冷蔵庫で時間をかけて熟成させます。
2日間寝かせた後は、水気をふき取って、再び冷蔵庫に入れて一週間乾燥させます。こうして熟成させることで脂身がバターのような風味になります。40gと少ない肉の分量でも満足していただける味わいになるように工夫を凝らしています。
熟成させた豚バラ肉は、茹でこぼしておいた夕顔、だし汁と一緒に耐熱の真空パックまたはジッパー付きの袋に入れて80℃のお湯の中でゆっくりと煮込むことで、やわらかく仕上がります。熱を加えすぎるとタンパク質が凝固し、肉が硬くなるので温度管理に注意してください。
加熱後に冷ますことも重要なポイントです。肉や野菜の旨みは、煮込んでいる間にいったん外に出てしまいますが、十分に冷ますことにより再び食材に戻ってきます。

この料理の栄養量

この料理の栄養量

エネルギー 189.92 kcal
タンパク質 7.02 g
塩分 0.51 g
ナトリウム 169.75 mg
カリウム 171.39 mg
リン 57.45 mg
水分 55.98 g
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調理のポイント

鍋で煮るとなるとまとまった量が必要で、調味料の量が増えてしまいがちですが、耐熱性の真空パックを利用すれば必要な量の調味料ですみます。また、家庭用の冷蔵庫は業務用に比べて風通しがよくない場合がありますので、肉を乾燥させる場合には、かたまりを小さくしたり、ザルを利用したりすることもポイントになります。

  • 材料

  • 作り方

フルーツホオズキのミルフィーユ フルーツホオズキのミルフィーユ

甘酸っぱいホオズキの果肉と軽やかなパイのハーモニー

食用のフルーツホオズキを使ったミルフィーユです。ホオズキは日本では観賞用として知られていますが、オレンジ色をした食用品種もあります。
ホオズキを裏ごししてピューレにしたものに生クリームを混ぜ、焼いておいたパイ生地にのせて重ねていきます。

この料理の栄養量

この料理の栄養量

エネルギー 155.63 kcal
タンパク質 2.05 g
塩分 0.1 g
ナトリウム 38.21 mg
カリウム 101.96 mg
リン 39.67 mg
水分 10.23 g
  • <材料>

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調理のポイント

フルーツのピューレと生クリームは、高タンパクなゼラチンの代わりに寒天を用いることで分離を防げます。

  • 材料

  • 作り方

信州産リンゴと洋ナシのコンポート 信州産リンゴと洋ナシのコンポート

季節のフルーツならではの味わいをそのままに

秋に食べごろを迎える洋ナシと、信州産のリンゴを使ったプチフール(小さいデザート)です。芳醇な洋ナシはそのままコンポートに、リンゴは砂糖を焦がしたキャラメルで色づけして二色にしました。
旬のフルーツも楽しんでいただきたいと思い、コース全体の栄養価を調整しました。

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この料理の栄養量

この料理の栄養量

エネルギー 70.38 kcal
タンパク質 0.08 g
塩分 0 g
ナトリウム 0 mg
カリウム 37.5 mg
リン 3.45 mg
水分 125.48 g

調理のポイント

洋ナシとリンゴをくし切りにする際はくり抜きやすいように、大きめに切るのがポイントです。

  • 材料

  • 作り方
タンパク質や塩分を抑えていることを忘れさせてくれるおいしさの背景には、 日々、腎臓病の方にも食を楽しんでほしいという 情熱が生んだ様々な工夫がありました。 ご家庭でも、日々の食事を作る際に参考にされてみてはいかがでしょう。 次回の「特別な日の腎臓病食」をお楽しみに。 タンパク質や塩分を抑えていることを忘れさせてくれるおいしさの背景には、
日々、腎臓病の方にも食を楽しんでほしいという
情熱が生んだ様々な工夫がありました。
ご家庭でも、日々の食事を作る際に参考にされてみてはいかがでしょう。
次回の「特別な日の腎臓病食」をお楽しみに。
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