家族で楽しむ腎臓病食

「家族と一緒の食事がしたい」――。腎臓病食を必要とされる患者さんから、時折、こうした声が聞こえてきます。
こちらのコーナーでは、管理栄養士の中山理恵先生からアドバイスをいただきながら、塩分やたんぱく質を控えながらも家族みんなが満足できる“腎臓病食”を、ご提案いたします。食材や味付けを工夫したり、下ごしらえにひと手間かけたり。ちょっとした調理のコツをおさえるだけで、おいしさは格段にアップします。
家族と一緒の食卓で、同じメニューを囲むことができれば、毎日の食事のひとときは、ひときわ楽しい時間になるのではないでしょうか。

本コンテンツは腎臓病食の一例を紹介しております。摂取可能な栄養量については、患者さんごとに異なっております。ご自身が摂取可能な量については、主治医にご相談ください。

vol.3 ラタトゥイユ 野菜が主役 冷めてもおいしい“作りおきメニュー” vol.3 ラタトゥイユ 野菜が主役 冷めてもおいしい“作りおきメニュー”

ラタトゥイユ

このメニューの栄養量 このメニューの栄養量

  • 【エネルギー】
  • 263kcal
  • 【水分】
  • 400.9g
  • 【タンパク質】
  • 4g
  • 【カリウム】
  • 917mg
  • 【カルシウム】
  • 58mg
  • 【リン】
  • 125mg
  • 【食塩】
  • 1.4g

今回ご紹介するのは、トマトをベースとした野菜煮込み料理「ラタトゥイユ」です。フランス南部、プロヴァンス地方の郷土料理で、作りたてはもちろん、冷めてもおいしくいただけます。暑い日は火を使った調理が億劫になり、毎日の食事を簡単に済ませがちですが、低栄養や低カロリーを防ぐために食事はしっかり摂っていただきたいと思います。今回は、わずかなコンソメと塩で、野菜のうまみを凝縮させたラタトゥイユを作るためのコツをご紹介いたします。

POINT 01 POINT 01

野菜を炒めてコクと栄養の吸収をアップ

ラタトゥイユは煮込み料理ですが、煮込む前にまず、にんにくを効かせたオリーブ油で、なすやズッキーニ、トマトなどの「野菜をしっかりと炒めること」がポイントです。炒めてから煮ることでコクが出て、野菜だけで“主役級”のボリューム感が楽しめます。また、トマトやピーマンに含まれるβカロチンは、油に溶けやすく、油と一緒に摂ると吸収がよくなるという特徴があります。炒めてから煮込むという調理法は、栄養面から見ても理にかなっているのです。

特に、トマトの赤い色はリコピンと呼ばれる色素で、強い抗酸化作用をもっています。ピーマンにはビタミンCも豊富に含まれています。ピーマンのビタミンCは熱に強く、加熱しても壊れにくいのが特徴です。また、なすの皮にはナスニンというアントシアニン系色素が含まれています。これはポリフェノールの一種で、抗酸化作用に優れているといわれています。

炒める際には、まずにんにくの香りを十分に引き出します。みじん切りしたにんにくは焦げつきやすいので、オリーブ油と一緒に鍋に入れてから火をつけ、弱火でゆっくり加熱しましょう。油はにんにくと相性がいいオリーブ油がおすすめですが、香りが苦手な方はサラダ油でも代用できます。野菜は一度に全部入れず、1種類ずつ火の通りにくいものから順に炒めます。玉ねぎを十分炒めたらなすを入れ、なすを炒めたらズッキーニを入れる、というように、野菜ごとにしっかり炒めることで、それぞれのおいしさ・甘味を引き出します。

POINT 02 POINT 02

最後は煮詰めて水分をしっかり飛ばす

野菜全体に油が回ったら、鍋にふたをして、野菜から出てくる水分で炒め煮をするようにさらに火を通していきます。焦げつかないように、鍋はできるだけ厚手のものを使います。

野菜が柔らかく煮えたら、最後は水分を飛ばしながら煮詰めます。「水分をしっかり飛ばすこと」で、コクのある仕上がりになり、日持ちもよくなります。

ラタトゥイユは冷やして食べてもおいしく、一度にたっぷり作っておけば、いつでも食卓に並べることができます。暑い日には特に重宝します。コンソメ、塩、こしょうのみのシンプルな味つけですが、カレー粉などを加えてバリエーションを広げれば、飽きずに食べられます。作りたてや冷製、カレー味のラタトゥイユなど、それぞれの味の違いを家族みんなで楽しんでいただければと思います。

中山 理恵 メニューアドバイス 中山 理恵(管理栄養士)

メニューアドバイス
中山 理恵
(管理栄養士)

CKD診療や透析を行う専門クリニックで、長年にわたり管理栄養士として、きめ細かな栄養指導を実践。患者さんの視点に立って、腎臓病食をできるだけおいしく食べていただくために、日々活動しています。

作り方

作り方

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材料(1人分)

材料(1人分)

<ラタトゥイユ>

  • トマト 200g
  • なす 70g
  • たまねぎ 70g
  • ズッキーニ 50g
  • ピーマン 40g
  • にんにく(みじん切り) 適宜
  • オリーブ油 18g(大さじ1と1/2)
  • コンソメ(乾燥) 1g(小さじ1/4)
  • 1g(小さじ1/5)
  • こしょう 少々

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  • <材料>

  • 1野菜に合わせて切り方を変えましょう

ラタトゥイユ 材料別の栄養素の詳細 材料(1人分)

材料別の栄養素の詳細 材料(1人分)

ラタトゥイユ
  1人分可食量 エネルギー
(kcal)
水分
(g)
タンパク質
(g)
カリウム
(mg)
カルシウム
(mg)
リン
(mg)
食塩
(g)
トマト 200g 3838kcal 188188g 1.41.4g 420420mg 1414mg 5252mg 00g
なす 70g 1515kcal 65.265.2g 0.80.8g 154154mg 1313mg 2121mg 00g
たまねぎ 70g 2626kcal 62.862.8g 0.70.7g 105105mg 1515mg 2323mg 00g
ズッキーニ 50g 77kcal 47.547.5g 0.60.6g 160160mg 1212mg 1919mg 00g
ピーマン 40g 99kcal 37.437.4g 0.40.4g 7676mg 44mg 99mg 00g
にんにく(みじん切り) 適宜 00kcal 00g 00g 00mg 00mg 00mg 00g
オリーブ油 18g(大さじ1と1/2) 166166kcal 00g 00g 00mg 00mg 00mg 00g
コンソメ(乾燥) 1g(小さじ1/4) 22kcal 00g 0.10.1g 22mg 00mg 11mg 0.40.4g
1g(小さじ1/5) - - - - - - 11g
こしょう 少々 - - - - - - -

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合計

合計

1人分可食量 エネルギー
(kcal)
水分
(g)
タンパク質
(g)
カリウム
(mg)
カルシウム
(mg)
リン
(mg)
食塩
(g)
合計 263263kcal 400.9400.9g 44g 917917mg 5858mg 125125mg 1.41.4g

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