血圧とADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)について

ADPKD(常染⾊体優性多発性嚢胞腎)の患者さんでは、若いころから⾎圧が⾼くなりやすく、注意が必要です。平均発症年齢は30歳代です。⾎圧が⾼いと腎臓に負担をかけるだけでなく、⼼筋梗塞や脳卒中などの⼼⾎管病のリスクにもなります。さらにADPKDの合併症である脳動脈瘤の発生とも関係しています。通常、血圧が高くても自覚症状はほとんどありません。

まず自分の血圧がどのくらいかを把握しましょう。

診察室での血圧より家庭での⾎圧のほうが参考になります。起床時や就寝前など安静を保った後に測ってみましょう。毎日測定できればいいですが、気が付いた時に測るだけでも構いません。

ADPKD患者さんの⾎圧の⽬標値は140/90mmHg未満とされています(たんぱく尿が多い場合は130/80mmHg未満)。これ以上の⾎圧の場合は、早めに医師に相談し、治療の必要性についても話し合われるとよいでしょう。

血圧を下げる薬(降圧薬)を飲むことに抵抗がある患者さんは少なくないと思います。ただ薬を飲まずに高い血圧を放っておくと、さまざまなリスクを抱えて生活していくことになります。最近の降圧薬はほとんど副作用はありません。もし副作用が見られた場合でも、たくさんの種類があるので、ご自身にあった薬を探すことができるはずです。また塩分制限、適正体重の維持など、生活習慣の改善により血圧が下がることもあり、その場合は降圧薬を減量あるいは中止できる場合もあります。