第6回 埼玉県在住Oさん

私の場合、トイレが困るのはゴルフの時です。その他の場面では工夫次第で快適に過ごすことができ、入院中に感じていた多飲や頻尿の心配は杞憂に終わっています。

私の場合、トイレが困るのはゴルフの時です。その他の場面では工夫次第で快適に過ごすことができ、入院中に感じていた多飲や頻尿の心配は杞憂に終わっています。

入院時にはサムスカの副作用に戸惑いを隠せなかったOさんですが、いざ会社に復帰してみると不便に感じることはほぼ無くなったと言います。働き世代でも治療をスムーズに続けられる工夫をお聞きしました。

入院時にはサムスカの副作用に戸惑いを隠せなかったOさんですが、いざ会社に復帰してみると不便に感じることはほぼ無くなったと言います。働き世代でも治療をスムーズに続けられる工夫をお聞きしました。

Oさんの代表的な一日

入院中は驚いたトイレの回数も会社に戻れば気にならなくなった

Q お母様と同じ主治医から、サムスカについて情報提供をされたそうですね。

多発性嚢胞腎(ADPKD)と診断されていた母の主治医に、今から6年前、私もADPKDを見つけてもらい、その後は定期的に検査を受けていました。しばらくは治療法も無く、できることといえば血圧のコントロールのみでしたが、2年ほど前にサムスカが発売されたことを先生が教えてくださり、私のクレアチニン値の悪化が速かったこともあり、服用を考えてみてはどうかと背中を押されました。「自分の時代には無かった薬ができたのだからやってみるべきだ」と母にも勧められ、また妻も「可能性があることはやってみよう」と言ってくれて、2015年7月に5日間の入院をして治療をスタートしました。

Q 最初のうちは、尿量の多さに挫折しそうになったとお聞きしています。

主治医からは副作用に関して説明は受けていたのですが、尿の量が想像以上でたじろいでしまいました。入院中は1時間に1回はトイレに行きたくなり、1日の尿量の合計は7L程度でした。ただ、体調はすこぶる良かったので、することといえば水をたくさん飲んでトイレに行くことだけでした。私は、パソコンや書類を持ち込んで仕事をしながら入院していましたが、それでも意識は飲水とトイレに集中していました。トイレのタイミングなどをノートに書くという作業も影響して、“またトイレか”と、そこばかりがクローズアップされてしまいます。だから、こんなに1日中トイレと飲水のことばかり気になるようでは、今まで通り会社で仕事をすることはできないのではないかと、不安になってしまいました。

Q しかし、実際に会社に復帰してみるとサムスカを服用しながらでも支障なく仕事に取り組むことができたそうですね。

入院の際は思い切って個室に入ったのですが、1人で病室にいて飲水とトイレのことばかり気にする環境だったため、ものすごく大変なことのように感じてしまいました。しかし、いざ退院して部下や同僚がいる会社で忙しく動いていると、トイレのことは忘れてしまい、1〜2時間に1回、思い出したように“トイレに行きたい”と感じて行くという感覚でした。何も大変なことではありません。おそらく仕事中は“意識が違う”のだと思います。私は広告代理店の営業職で、統括する立場にいるため会議も多いのですが、長引く会議でも1時間に1回ぐらいトイレに立つことに何の違和感も持たれません。サムスカの副作用についてしっかりと学んだ上で入院した人でも、最初の1〜2日は「これは大変だ」と思うかもしれません。しかし、意外とすぐに慣れて気にならなくなるものなので、あまり心配する必要は無いと思います。

水分補給にはマイボトルが便利

Q 仕事中は飲み物の確保をしなければなりませんが、どのような工夫をされていますか。

朝の出勤時にコンビニで2Lのミネラルウォーターを買い、職場の冷蔵庫で冷やしておきます。そして、保冷効果のあるマイボトルも持参し、冷えた水を移しては社内で持ち歩いて飲んでいます。だいたい夕方までに2Lを飲み切るペースで、ランチの際などにコーヒーも何杯か飲むことから、オフィス内での水分摂取量は3L程度でしょうか。私は内勤が多いのですが、部下と一緒に得意先に営業に出ることももちろんあります。一度外出すると2〜3時間はかかるため、こんな時もマイボトルが役に立ちます。

Q 平日はサムスカを会社で服用しているそうですね。

日々の生活をスムーズに送るにはどのタイミングで服用するのがいいかを試行錯誤し、決まったのが今のスタイルです。まず、朝は会社に出社した直後に服用しています。通勤中にトイレに行きたくなるのを避けるにはこれが一番です。夕方の服用は仕事が終わる時間によって変化することもありますが、帰宅する前の19時頃が多いですね。これは、夜間頻尿を避けるのが目的です。現在、就寝中は2回ほどトイレに起きています。また、トイレの後は300〜400mLほど水分を補給してからベッドに戻るようにしています。サムスカを服用する前は1度も起きずに朝を迎えていたため、夜中に2回も目覚めると充分な睡眠が取れないのではないかと心配したこともあります。しかし、今ではこのリズムにすっかり慣れました。

Q 地方への出張やゴルフなど、すぐにトイレに行けそうもない場合ではどのような対策をしていますか。

地方出張の際には現地を部下の運転するレンタカーで移動することもありますが、コンビニがあれば尿意を感じていなくてもトイレに立ち寄るようにしているので、特に問題はありません。また、飛行機や新幹線での長距離移動でも、トイレは必ずあるので不便を感じたことは無いですね。サムスカを服用するようになると、日本のトイレ環境の充実ぶりに感心させられます。ただし、ゴルフでは頻繁にトイレに行くことができない場合もあり、そんな時は主治医と相談しながら対応しています。言い換えれば、トイレが困るのはゴルフの時だけということですね。入院中に感じていた心配は杞憂に終わっています。

記者の感想

サムスカの副作用に関する不安は、実際に体験してみるとさほどの影響が無いこと、そして働き盛り世代の治療でも、工夫次第で快適な生活を送ることができるということを教えてくれたOさん。これから治療を行う患者さんに勇気を与え、“必要以上に心配する必要はない”と、背中を押してくれる頼もしい存在です。
広告代理店の営業職として全国を飛び回るOさんの日常生活の様子や娘さんたちに対する想い、ADPKD患者さんへのメッセージなどを「わたしのADPKD体験談」でも紹介しています。ぜひご覧ください。

2016年9月作成
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