第1回 神奈川県在住Hさん

多発性嚢胞腎(ADPKD)で透析治療を受けていたおふくろの姿を見ていたからこそ、主治医から新しい治療薬の存在を知らされたとき、一日も早く治療を受けたいと思いました。
悩んでいても病気は良くならないし、治らない。それならば、できることから始めるのが一番なんじゃないでしょうか。

多発性嚢胞腎(ADPKD)で透析治療を受けていたおふくろの姿を見ていたからこそ、主治医から新しい治療薬の存在を知らされたとき、一日も早く治療を受けたいと思いました。
悩んでいても病気は良くならないし、治らない。それならば、できることから始めるのが一番なんじゃないでしょうか。

ADPKDで透析治療中のお母様の通院に付き添ったことがきっかけで、ご自身の病気を知ったというHさん。受診先が専門病院だったため、診断時に新しい治療薬の治験についても知らされており、承認されたら一日も早く治療を受けたいと思ったそうです。現在、サムスカによる治療を受けておられるHさんに、診断された経緯や日常生活についてお話を伺いました。

ADPKDで透析治療中のお母様の通院に付き添ったことがきっかけで、ご自身の病気を知ったというHさん。受診先が専門病院だったため、診断時に新しい治療薬の治験についても知らされており、承認されたら一日も早く治療を受けたいと思ったそうです。現在、サムスカによる治療を受けておられるHさんに、診断された経緯や日常生活についてお話を伺いました。

Q どのような経緯で、いつごろADPKDであることを知りましたか?Q どのような経緯で、いつごろADPKDであることを知りましたか?

きっかけは、おふくろの通院でした。2011年の東日本大震災で宮城に住んでいたおふくろが被災し、私が住んでいた東京都内に避難してきました。以前からおふくろは透析が必要な状態だったので、診察のために大学病院に連れて行ったんです。そこで先生からADPKDという病気についての説明があり、「息子さんは検査をしましたか?」と聞かれたんです。おふくろから遺伝病とは知らされていなかったので、びっくりしてその場ですぐ予約して、後日の検査の結果、私自身もADPKDであることがわかりました。

Q お母様から病気のことについて、お聞きになったことはなかったのですか?Q お母様から病気のことについて、お聞きになったことはなかったのですか?

「もしかしたら腎臓が悪くなるかもしれないから、あんたも気をつけなさいよ」と言われることはありましたが、そんな深刻な感じではありません。日頃から軽い感じで言われていましたが、私がADPKDと診断されるまで、おふくろから病気についての詳しい話を聞くことはありませんでした。実際に私がADPKDとわかっても、おふくろは特に顔色を変えることもなかったので、遺伝することを覚悟していたのだと思います。 おふくろの兄弟に腎臓病の人はいませんでしたが、おふくろの祖父は腎臓の病気で亡くなったとは聞いています。おそらく同じ病気だったんではないでしょうか。

Q サムスカを服用するに至った経緯をお聞かせください。Q サムスカを服用するに至った経緯をお聞かせください。

ADPKDと診断されたとき、主治医の先生から新しい治療薬の治験がすでに始まっているという情報をいただいていて、その薬が承認されたら、一日でも早く治療を始めたいと思っていました。でも、いざサムスカでの治療が可能となったとき、尿の回数が増えるということだったので、仕事に影響が出るかもしれないと服用を躊躇しました。結局、1〜2ケ月くらい考えて、思い切って職場の上司に相談してみると、「身体が一番。積極的に治療したほうがいいんじゃないかな。もし問題が出てきたら、そのときはそのときで対応を考えればいいよ」と言ってくれたんです。この上司の言葉に後押しされ、服用を決断することができました。
おふくろは50代から透析治療を受けていたので、自分もそうなるのだろうと諦めていましたが、できれば現役のうちは透析に移行したくないという思いがありました。サムスカによる治療で透析導入を先延ばしにできる可能性があるということで、本当に治療を開始して良かったと思っています。

Q 治療を始められた頃のことについてお話しいただけますか?Q 治療を始められた頃のことについてお話しいただけますか?

2014年からサムスカの服用を開始しました。開始前に主治医の先生に検査・診察をしっかりしていただき、事前に副作用などの細かな情報をいただいていたので、不安なく服用することができました。何より安心したのは、「もし服用して問題があれば、いつでもやめていい」という先生の言葉でした。いつでもやめられると聞いて、スッと気が楽になりましたね。
ただ、水を一日6リットル飲まなければならないと言われ、最初はそんなに水が飲めるのだろうかと心配になりました。夏場は飲めても冬場にそんなに水が飲めるものかと・・・。でも、実際にやってみると、「なんだできるじゃん」という感じで、飲めてしまうんですよ。先生方が「飲まなければならない」と言われると構えてしまうので、「飲むようになります」と説明したほうがいいんじゃないかなと思いましたね(笑)。

Q 治療開始前には多尿をご心配されたということですが、実際にはいかがですか? Q 治療開始前には多尿をご心配されたということですが、実際にはいかがですか?

服用を始めて1〜2週間程度は、今まで経験したことのない頻尿に戸惑い、仕事中や外出の際はどうなるのかと思い悩みました。でも服用時間を調整したり、外出する直前にお手洗いに行ったりなどの工夫を重ねていくと、コントロールできる範囲であることがわかってきて、意外と簡単に問題は解消できました。あと、気持ちの部分も大きかったです。『トイレに行かなければならない』と考えてしまい、精神的な面でも頻尿になっていた気がします。『行きたくなったら行けばいい』と考えるようになってからうまくいくようになったと、今は思います。 今では人よりお手洗いの回数が少し多い程度で、普通に仕事をして、普通に旅行して、普通に遊んでいるという感じです。ただ、外出先ではまずトイレの場所を確認することが習慣になりましたね(笑)。一般的にもトイレが近い人っているじゃないですか。そういう感覚で過ごせるようになれば、服用前の生活とあまり変わらないと思います。

Q 服用や水分補給などで、特に注意されていることはありますか?Q 服用や水分補給などで、特に注意されていることはありますか?

私の場合、勤務が不規則なので、主治医の先生のアドバイスをもとに勤務時間に合わせ服用するタイミングを少し調整するなどしています。たとえば、仕事が立て込む時間に尿意がないよう逆算して服用したり、休憩時間の2時間前くらいに服用するなどの調整です。
水分補給に関しては、仕事先には、夏だと大きな水筒に氷水を入れて持参します。冬は2リットルのペットボトルの水をそのまま、たまに温かいお茶を飲んだりしています。休日に水筒を持ち歩くというのは抵抗があるので、普通のペットボトルを携帯し、なくなれば買い足すという感じで過ごしています。ただ、水ばかりだと飽きてしまうので、ときには気分を変えて炭酸水を飲んだりしています。

Q その他、日常生活で注意されていることはありますか?Q その他、日常生活で注意されていることはありますか?

これといって気をつけていることはありませんが、食べ過ぎと塩分の摂り過ぎには注意しています。たとえば、醤油をポン酢に変えたり、定食で味噌汁が出てきたら半分残したりしています。家での食事は妻がしっかり減塩を意識して作ってくれているので、最近では外食すると味が濃いと感じるようになりました。また、コーヒーによるカフェインの摂り過ぎには気をつけています。
主治医の先生からは、ダイエットも含めて運動するようにと言われているのですが、恥ずかしながら運動と呼べるものは何もしていません。しいて言えば、犬と娘との散歩ぐらいでしょうか。それでも、主食のご飯を控えるようにしたら1ヶ月で4キロも痩せたんです。今までは食べ過ぎだったということでしょうね。ベルトの穴がひとつ変わって痩せたのを実感でき、本当に気分が良いんです。

Q 治療を続けていくにあたって、心がけておられることはありますか?Q 治療を続けていくにあたって、心がけておられることはありますか?

服用して1年近くになりますが、クレアチニンの数値も1.4を維持できています。私の場合、病気の自覚症状というのが全くなかったので、もしも透析治療で大変な思いをしているおふくろの姿を見ていなかったら、この治療に踏み切れずにいたかもしれません。良い先生と巡り会い、新しい治療方法を教えていただいたことには本当に感謝しています。治療開始後は、定期的に肝臓の機能や血液中のナトリウムの濃度を調べるための血液検査、CT検査を受け、先生に数値の変化や嚢胞の大きさを確認していただいており、この先もし、問題や副作用が出てきたときには、先生と相談して対応していきたいと思います。
また、私が診断を受けたときには、難病と指定されていませんでしたが、今では指定されて経済的な不安もなく治療ができるようになりました。いろいろな人に支えられていることを忘れずに、今後も前向きに治療を続けていきたいと思います。

病気になったことを悩んでいても、良くなるわけでも、治るわけでもない。
せっかく新しい治療法があるのだから始めてみようと、前向きに病気と向き合ったHさん。
とても病気を抱えているとは思えない明るい笑顔と、元気でハツラツとした姿が印象的でした。
病気と温かく見守ってくれるご家族や上司とのエピソードや、定年後の夢などを「わたしのADPKD体験談」でも紹介しています。ぜひご覧ください。