第15回 東京都在住Bさん

サムスカという治療法を長年継続できていることで、人生を楽しむことができています。

サムスカという治療法を長年継続できていることで、
人生を楽しむことができています。

サムスカの治験にも参加し、服薬歴がすでに15年を超えるBさん。仕事を続けながら旅行や歌舞伎鑑賞などの趣味を楽しむ毎日の中で、服薬や飲水などを上手にコントロールされています。ライフスタイルにサムスカがしっかりと根付いた姿がそこにはありました。

サムスカの治験にも参加し、服薬歴がすでに15年を超えるBさん。仕事を続けながら旅行や歌舞伎鑑賞などの趣味を楽しむ毎日の中で、服薬や飲水などを上手にコントロールされています。ライフスタイルにサムスカがしっかりと根付いた姿がそこにはありました。

Bさんの代表的な一日

飲水量やトイレの回数は増えたが仕事への影響は感じなかった

武藤先生

サムスカの治験に参加されてきたBさんは、服薬を開始して約15年と最も長く治療を継続されている一人ですね。服薬を開始するにあたり、不安はありませんでしたか。

Bさん

32歳のときにのう胞が見つかり、その後近所の大学病院で診断を受けました。当時はまだ多発性のう胞腎(ADPKD)という疾患名も定まっていなかった時代です。その病院には専門の先生がいなかったということもあり、遺伝性で治療薬もなく、妊娠も避けた方がよいと言われてとてもショックでした。その後、武藤先生がいらっしゃった大学病院に移ると、もうすぐ治験も始まるということ、そして決して悲観する必要はないというお話をしていただき、本当に救われた思いでした。早く治験に参加したくて月に1度の検査のたびに、「先生、治験はまだですか」としつこく聞いていました。

武藤先生

そうでしたね。治験のお薬についてもしっかりと説明させていただきましたが、積極的な姿勢で治験に参加していただいたことを覚えています。

Bさん

希望のない疾患であると一度は説明されていたので、治療薬ができることは本当にうれしかったです。夫もサムスカのことをしっかりと勉強してくれ、治験に参加することにも大賛成してくれました。

武藤先生

1週間入院して治験を受けていただきましたが、初めてサムスカを服用した当時、飲水やトイレの間隔などはどれくらいだったか覚えていますか。

Bさん

もう15年も前のことなので詳しい数字は忘れてしまいましたが、トイレは1時間に1回は必ず行っていました。その分、水や麦茶をたくさん飲んでいましたが、飲むのが大変という感覚はありませんでした。むしろトイレに行くぶん喉が渇くので、美味しくゴクゴクと飲めてしまいました。人ってこんなに水を飲めるものなのだと自分でも驚いたぐらいです。これは現在に至るまでそうで、水がとてもおいしく感じます。

武藤先生

Bさんは当時から資産運用会社にお勤めでした。サムスカの服用を開始したことで仕事への影響はありませんでしたか。

Bさん

私の業務はほとんどがデスクワークで、出張などもありません。念のため、当時の上司には疾患について説明をして、1時間に1回はトイレに立つことを伝えましたが、仕事への影響は現在に至るまでとくに感じていません。飲水に関しても、麦茶が好きなので自分でペットボトルを買って持参する他、会社のウォーターサーバーの水やコーヒーを飲むなどしており、不便を感じたことはありません。

武藤先生

サムスカを開始するにあたり、利尿作用が仕事や生活に影響を与えることに不安を感じる患者さんは少なくありません。15年という長い期間服薬治療を続けておられるBさんの言葉は、多くの患者さんを勇気付けると思います。開始直後と現在とで変化を感じることはありませんか。

Bさん

トイレに行く間隔が変わったとか、水が飲めなくなったなどの変化はとくにありません。この生活にすっかり慣れてしまい、仕事などで忙しいときにうっかり服薬を忘れたり、そのぶん飲水量が減ったりということはありますが、気付いた時にすぐ服薬して事なきを得ています。15年経っても悪い変化などは感じませんね。

自分のペースをつかみ無理なく服薬を続けながら人生を楽しみたい

武藤先生

Bさんはサムスカの用量を順調に増やし、早い段階から最高用量の服薬を続けています。増量に際しては大変なことはありませんでしたか。初めて増量したとき、一度だけ減量をしたことがありましたね。

Bさん

あの時は何ともいえない体の違和感を覚え、減らした方が良いように感じたのです。体調が悪いとか食欲がなくなるなどの変化はありませんでしたが、水分は足りているのに体内のミネラルがどんどん排出されてしまうような感覚がありました。それを先生に伝え、一度減らしたいと話したところ、すぐに減らしてくださいました。それからしばらくしてもう一度増量したときには以前のような違和感はなく、あれからずっと今の用量をキープしています。

武藤先生

Bさんのように、患者さんが感じる違和感をすぐに話していただけるのは医師にとってはありがたいことです。私たちの体は腎臓だけでできているわけではありませんから、全身の感覚を含めて感じたことを話していただきすぐに対処してクリアにすることは、その後で長く治療を続けるためにも大切なことです。私自身は、患者さんのライフスタイルに合わせて一時的に休薬する日があってもかまわないと思っています。仕事などで自由にトイレに行くことができないときや自由に水が飲めない環境に置かれるときには、主治医の先生と相談をしていただき、無理して服薬せずに休んでもよいと考えています。その時々に対処しながら長く治療を続けていくことが疾患に対しても有効だと考えます。

Bさん

私の場合は、この15年間一度も休薬せずに済んでいます。しかし、服薬時間をずらすことはあります。私は歌舞伎を観るのが趣味の一つなので、舞台の時間を見越して、例えば終演してから飲むというようにしています。

武藤先生

自分のペースをつかんでいますね。交通機関などでは不便を感じませんか。

Bさん

日本国内ではトイレに関してはほとんど不便を感じたことはありません。電車にも飛行機にもきれいなトイレが整備されていて、皆さんが予想する以上に大丈夫なものです。飲み物に関しても、至る所にコンビニエンスストアや自動販売機があり、いつでも手に入ります。ただし、一度だけピンチのときがありました。旅行の際、目的地まで3時間ほどかかる特急列車に乗り込んだところ、車内販売がなくて飲み物を買えませんでした。偶然にも500mLのペットボトルを1本持っていたので、その水を大切に飲みながら3時間をやり過ごしました。あの時、水を持たずに乗っていたらと思うと怖いですね。それ以降、どんなときでもカバンの中には500mLの水を最低でも1本入れておくようにしています。通勤電車などは事故で止まったりしてしばらく閉じ込められる可能性もありますから、備えあれば憂いなしです。

武藤先生

さすが飲水の工夫は慣れてますね。Bさんは多趣味で旅行もお好きと伺っています。今後やってみたいことはどんなことでしょうか。

Bさん

日本の歴史が好きなので国内旅行が主ですが、海外で日本の美術品が多くある場所には行ってみたいですね。5年ほど前に1週間ほどインドに行ってきました。きれいな飲み水の確保が大変でしたが、トイレは意外と困ることも少なく、服薬も中断することなく無事に楽しむことができました。今後もしっかりと治療を続けながら、やりたいことを積極的に楽しんでいきたいですね。

~取材を終えて~武藤 智先生

サムスカによる治療がすっかり生活の一部になっているBさん。15年にわたって大きな問題もなく服薬を続けている姿は多くの患者さんを勇気付けるはずです。Bさんは現在50代ですが、お父様は50代ですでに透析治療を受けていたそうです。「当時の父と同じ年代になった現在、私はADPKDの治療を続けながら仕事も旅行も楽しむ生活ができています。これからも深刻になりすぎず、希望を持って人生を送りたいです」と話してくれたBさんの言葉は、私たち医師にとってうれしいものです。今後もこれまで通り前向きに、そして積極的に人生を楽しむBさんを応援したいと思います。一緒に頑張っていきましょう。

2021年10月作成
SS2110447