第10回 三重県在住Kさん

孫と元気に遊ぶおばあちゃんになるのが今の目標。サムスカの服用で病気を前向きに捉えることができ、積極的な自分になれました。

孫と元気に遊ぶおばあちゃんになるのが今の目標。
サムスカの服用で病気を前向きに捉えることができ、積極的な自分になれました。

仕事にボランティア活動にと、忙しくも充実した毎日を送るKさん。サムスカを服用し、増量も経験していますが、副作用についても服用後の日常生活についても、心配していたような不便はないため積極的に治療に取り組むことができていると言います。

仕事にボランティア活動にと、忙しくも充実した毎日を送るKさん。サムスカを服用し、増量も経験していますが、副作用についても服用後の日常生活についても、心配していたような不便はないため積極的に治療に取り組むことができていると言います。

Kさんの代表的な一日

飲水やトイレのタイミングをコントロールすれば仕事にも支障はない

Q サムスカの服用までには迷いがあったそうですね。

学生時代から自身の多発性のう胞腎(ADPKD)については知っており、腎機能検査も定期的に受けていました。しかし、検査を受けて数値が悪くなっていなければほっとする一方で、たとえ悪くなっていても血圧の管理以外は手立てがない時期が長く続いたため、治療法ができたと聞いたときから受けてみたいという気持ちは強かったですね。ただ、それによって飲水量や尿量の増加などが起こり、仕事にも日常生活にも支障を来すのではないかと考えると、どうしてもあと一歩を踏み出すことができませんでした。最初にサムスカの情報をくれた医師が副作用についてていねいに説明してくれたのですが「副作用により仕事を続けられなくなる可能性もある」と、マイナス面を強調する説明だったように受け取れたことが影響していたかもしれません。

Q 治療を開始しようと決意したきっかけを教えてください。

現在の主治医も、薬の副作用について十分な説明をしてくれました。でもそれだけではなく、クレアチニン値が1.2➡1.3 ➡1.4 mg/dLと緩やかながら検査の度に上昇していること、そして飲水や尿量の増加に対して工夫をしながら仕事を続けている患者さんがたくさんいることなどもていねいに話してくれたことで、サムスカの服用を開始しようと思うことができました。治療に関しては夫も息子も賛成してくれて、導入入院も「頑張って」と送り出してくれました。でも、離れて暮らす夫の兄弟には導入入院のニュアンスがうまく伝わらず、「入院までして服用する薬など大丈夫なのか」と心配をかけてしまって、申し訳なかったですね。

Q 導入入院や治療開始直後、予期していなかったトラブルなどはありませんでしたか?

導入入院時はやはり副作用に驚きました。初日は4.4L飲水し、尿量は5.7Lでした。2日目は6L飲水して尿量は6.4Lと、当時の日記には記録されています。30分から1時間おきにトイレに行かなければならず、脱水も怖いので常に水を飲み、本当に続けていけるのか自信を持てませんでした。導入入院の終了から4日後には仕事を始めたのですが、お客様の前に出るレストランのホール係だったため、トイレに行ってばかりで仕事になるのかという不安もありました。しかし、いざとなれば何とかなるもので、9時から15時まで勤務して、3〜4時間ごとにトイレに行く程度で済んだのです。1回の尿量は増えたようですが、頻尿で困るようなことはありませんでした。飲水もバックヤードに下がったときに行えたし、以前と変わらず仕事ができました。

Q 仕事に復帰する際に、職場の方には相談をしましたか?

実は、職場の仲間にはADPKDのことを話していません。一応、水分をたくさん摂らなければならない薬を飲むことは伝えたのですが、同年代の同僚は「私も同じ」という反応で、恐らく膀胱炎か何かと勘違いされたのだと思います。また、上司にはトイレに頻繁に行くようになるかもしれないとは伝えたのですが、私の場合、実際には服用前と後で仕事中のトイレの回数に違いはありませんでした。入院中は頻回だったし、買い物などから帰宅するとすぐにトイレに行きたくなるのは今も同じですが、仕事中は目の前の業務に集中することで、トイレの回数を上手にコントロールできていると思います。

服用量の増量では変化もあったが、体がすぐに慣れ、症状も落ち着いた

Q 日常生活で行っている工夫はありますか?

朝のサムスカ服用は7時半に決めていて、その時間帯でたっぷり1L程度の水を飲み、9時の出勤までにどんどんトイレに行くようにしています。すると、仕事中はさほどトイレに行かずに済んでいます。また、夜の服用は帰宅後の17時半〜18時半ぐらいまでには済ませるようにしています。これは、就寝中にトイレに起きるのを抑えるためです。この時間に服用して就寝を23時ぐらいにすると、夜間に一度もトイレに起きずに済んでいます。疲れているときなどに22時前後に寝てしまうと、夜中の1時ごろにはトイレに起きることになるため、できるだけ出し切ってから就寝するようにしています。飲水に関しては、職場に水筒を持参することもありますが、特に周りから何か言われることもなく、のどが乾いたら飲むというごく普通の頻度で足りていますね。

Q 現在はサムスカを120㎎まで増量しているとお聞きしました。増量の際の体の変化などはありましたか?

私の場合、服用を始めるときに医師と相談して、半年ほどかけて90㎎まで増量するのがベストであるという結論に至りました。不安はもちろんありましたが、効果への期待の方が大きかったので、抵抗なく増量しました。実際、増量した直後は尿量が増え、のどの渇きも強くなりました。1日12〜13回はトイレに行ったと思います。しかし、そのときに先生が言った「膀胱に溜められる尿量が増えて対応できるようになりますよ」という言葉が頭にあって、すぐに慣れるはずだとどっしりと構えていることができました。実際に仕事への影響もなく、トイレの回数は増量後1〜2日で10回以下に落ち着きました。先日、1回の尿量を測ってみたのですが、以前は1回400mL程度だったのが、今では倍ほどに増加しています。トイレの回数がさほど気にならないのもこのおかげだと思います。先日、医師と相談してサムスカを120mgまで増量しました。やはり増量前と比べるとのどが渇きますが、以前から水分は摂るようにしているため、特に負担は感じていません。何より、サムスカの服用を開始してから現在まで、クレアチニン値が増加せずに安定しているのが励みになっています。

Q 仕事と治療の両立も順調ですね。

私は学習支援事業などのボランティア活動やファミリーサポートなどを行っています。服用前はサムスカの作用による脱水症状や高ナトリウム血症から意識障害を引き起こすケースもあると聞き、これらの活動をやめなければならなくなるかもしれないと不安を感じていました。しかし、そのような変化は表れたことがなく、仕事と共に今も変わらず続けています。以前から私は公共の場のトイレが苦手でした。きれいなトイレでないと使用したくない、やむを得ない場合でも精神的な負担が大きいというタイプで、なるべく自宅まで我慢して用を足していました。ところが、実際に服用を開始して買い物先の百貨店や高速道路のサービスエリアなどでトイレを使用してみると、思っていた以上に清潔なところが多く、苦になりませんでした。副作用についても服用後の日常生活についても、私の場合、ほとんど負担に感じることはなかったですね。これが2年間服用を続けている私の正直な感想です。

Q サムスカを服用し続けるモチベーションについて教えてください。

大学生の息子にもADPKDについては話しています。息子はまだ検査をしていませんが、薬について聞いてきたりするため、私の経験を生かしてもらえればうれしいですね。私は、サムスカを服用することで少しでも長く腎機能を維持したいと思っています。仕事もまだまだ続けたいし、ボランティアなどの活動の幅も広げたいと考えています。そして将来は、孫とたくさん遊ぶ元気なおばあちゃんと言われるためにも、サムスカをきちんと服用し続けていきたいですね。

記者の感想

仕事にボランティア活動にと、パワフルな毎日を送っているKさん。サムスカによってADPKDを前向きに捉えることができるようになり、積極的になれたそうです。子育てもひと段落した今、ご主人と旅行やドライブを楽しみたいとも話してくださいました。Kさんの人生は、これまでよりももっと生き生きと輝くだろうと実感できるインタビューでした。

2023年3月改訂
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